福祉の原点を探る旅 ネパール編 口唇口外裂医療チーム②

ご無沙汰いたしました。

 

福祉の原点を探る旅、前回に続き、ネパール編 

 

ADRA口唇口外裂医療チーム②です。

 

前回は口唇口外裂になって、どんな差別を受けてきたか書きましたが、

 

今回は、患者さんたちの手術後のその後の希望について

 

書いてみたいと思います。

この男の子は、

 

カースト制度がまだ残るネパールでは、

 

職業の選択も難しい状況ですが、

 

手術が無事に成功したら、

 

「がんばって勉強して、形成外科医になりたい」

 

「友達と同じようにハンサムになりたい」

 

と語っていました。

 

 

また、ほかの患者さん達の希望の声です。

(ADRAスタッフの調査報告より)  

Aさん

 

『これまでの生活』

 ・母親の前世がよくなかったんじゃないかと言われたり、嫌がらせを受けた

 ・義理の母親にも、嫌なことを言われてきた。

 

『手術後の生活への期待』

 ・自分の子供がほかの子供と同じように普通になれるのがうれしい。

   ・子供には自立してもらいたい。

 

 

Bさん

 

『これまでの生活』

  ・母親は口唇口外裂の子供を産んだことが原因で、子供が6,7歳のころに他の男性と

  出て行った。

 ・3人姉妹だったが、他の2人は母親が連れて出て行った。

 ・父親も、母親が出て行った後、他の女性と家を出て行った。父も母もどこにいるか

  不明。

 ・祖父母に育てられたが、家が貧しいので、早く結婚して出ていくように言われた。

 ・近所でも、外出時に「これ」と悪口を言われた。

 

『手術後の生活への期待』

 ・お金が入る仕事をして、子供たちをしっかり育てていきたい。

   ・外見がきれいになるからうれしい。

 

 

Cさん

 

『これまでの生活』

 ・両親はけんかが絶えなかった。父親は毎日酒を飲み、怒っていた。

 ・子供は母方の祖父母が育てている。他の子供は両親と生活してい。

 ・家族はバスで10時間のところで生活をしている。

 ・学校には毎朝泣いていった。

 ・学校でいじめられるので毎日泣いていたが、祖母が教育の必要を説明していか

  せていた。

 

 

『手術後の生活への期待』

 ・父親に顔のせいですてられたと思っている。手術をしてきれいになったら、

  勉強をがんばって、これまで育ててくれた祖父母の面倒をみていきたいと

  思っている。

 

 

 

Dさん

 

『これまでの生活』 

 ・これまで、16歳で結婚。本人は覚えていないが、祖父にいじめられた。

 ・人と話すときに、言葉が理解されず、笑われたりいじめられたりした。

『手術後の生活への期待』

 ・自分を馬鹿にした友達の前ではっきりしゃべりたい!

 ・いじめがなくなり、普通の人と同じになれる。

 ・夫の家族が喜んでくれる。

 

 

Eさん

 

『これまでの生活』

 ・こどもを生んでから、夫と夫の両親から「前世が悪かった、母親が

  悪い人だから、こんな子供が生まれた。とひどくいじめられた。

 ・夫は、夫の両親に言われて、家を出て外国で働いている。どこにいる

  か知らないし、戻ってくるかも分からない。

 ・夫の両親と暮らしているが、毎日稼ぐ80ルピーを差し出さないと、

  食事をもらえない。今回の手術にも無関心。

 

『手術後の生活への期待』

 ・夫の両親は、手術が終わっても喜んでくれるかわからない。そのため、

  子供は自分の親許に預けたい。自分は夫の家を出ることはでき

  ないので、子供だけでも避難させたい。

 ・手術後は、普通の子供と同じように、勉強や遊びを楽しめるようになる

  と思う。

 

 

 

手術が終わって笑顔の皆様です。

皆様のお話をうかがうと、福祉の用語で「エンパワメント」(Empowerment)


という言葉が頭に思い浮かんできました。

 

「エンパワメント」とは、「力をつける」という意味で、

 

障害をもった方、あるいはその方の家族が、より内発的な力を持ち

 

自らの生活を自らコントロールできること。

 

または、自立する力を得ること。

 

手術をすることによって、患者さんたちの障害を取り除き、

 

新しく生きていく力を自ら切り開いていく力を与えていく。

 

まさにこれが福祉の原点でしょうか。

 

 

そして今回の口唇口外裂医療チームで感じたのが、

 

関わるスタッフのチームワークです。

 

スタッフとして、大学病院の形成外科の先生、麻酔科の先生、内科の先生、

 

看護師さん、栄養士さん、ボランティアスタッフさん、達が

 

皆、縦・上下の関係ではなく、患者さんの笑顔のために、

 

献身的に一つのチームとして、分け隔てなく力を合わせてサポートしていたこと。

 

しかも皆様ボランティアです。

 

 

福祉の原点、

 

① エンパワメント

 

② チームワーク

 

ネパールのバネパという街で、口唇口外裂の医療チームに接しながら、

 

この二つのことがみえてきつつ、

 

まだまだ、福祉の原点を探る旅、つづきます。

 

                                                                                   柴田yas

 

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コメント: 6
  • #1

    kuma (木曜日, 11 8月 2011 08:05)

    エンパワメント、チームワーク、なるほどです。

    ブログを見てこんなに勉強になるのは初めてです。

    すごく貴重な経験をしていますね。

    自分には海外に行くことが今は出来ないですが、日本にも勉強に
    なることはたくさんあると思うし、なにより、柴田さんから
    たくさん吸収したいと思います。

  • #2

    柴田yas (木曜日, 11 8月 2011 21:03)

    kumaさん
    コメントありがとうございます!
    いやいやそんな、恐縮です。
    お互い今はなかなか海外は難しそうですが、
    いつかは一緒に海外研修・視察行きたいですね。

  • #3

    相模原の風 (月曜日, 15 8月 2011 11:10)

    皆さんの「手術後の生活への期待」を読むと、喜びや夢、希望を持ってくれて「本当に良かったね」と抱きしめたくなりました。
    去って行った親も、心の底では、辛さや悲しさがあったのではと思います。
    失礼ですが、医療機器も色々あり、病院の清潔さに驚きました。
    何人もの人の声を集めて、まるで本物の取材記者のようですね。
    大変だったと思います。
    代表の心の優しさに、ちょっと目がうるうるしちゃって・・・

    話し変って、トップに出てくる松の木や海の写真がとても涼しさを感じさせてくれて良い写真ですね。

  • #4

    柴田yas (月曜日, 15 8月 2011 17:33)

    相模原の風さん
    コメントありがとうございます!
    すみません。最初の少年はじかにインタビューできたんですが、
    他の患者さんたちの希望の声は、ADRAの報告を元に
    書かせていただきました。
    病院の手入れや、医療機器など、今はだいぶ整ったそうですが、
    20年前の援助が始まった頃は、医療機器等日本から援助をつのって
    一つずつそろえていったそうです。

    トップの松の写真、ありがとうございます。
    これは僕が昨年夏に撮った、一色海岸からの風景です。
    御用邸のおかげで、立派な松林が残っていて、まさに
    「日本の夏」って雰囲気です。

  • #5

    相模原の風 (月曜日, 15 8月 2011 21:10)

    代表、謝らないで下さい。
    直接聞いたのではなく、ADRAの報告を元に書いたとしても優しい気持ちがなければ聞いてきたり、ブログで披露はなさらないでしょう。

    インドやネパールに度々行く精神世界関係の友人達がいますけど、皆自己満足と優越感で終わってしまい、知った事を人に教えたくないようにも見えます。
    kumaさんも言われるように、ブログで勉強させてもらえるなんて嬉しい事ですよね。
    世間は荒波だけど、このブログに戻ってくると温かく、優しい気持ちになります。
    仕事の合い間に書くのは大変でしょうけど、待っている人が沢山いますよ。代表の肩揉みに行ってあげたいくらい!

  • #6

    柴田yas (火曜日, 16 8月 2011 07:49)

    相模原の風さん
    温かいお言葉ありがとうございます!
    少しでも読んでくださる皆様が、優しい気持ちになっていただけるよう、
    頑張りますね!
    肩揉みも是非お願いしま~す。

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